第19回櫻井健二郎氏記念賞
(2004年3月18日更新)




櫻井賞受賞者記念写真
    (櫻井賞受賞者記念写真説明)
    (前列左から)
     成瀬  央 (受賞者:日本電信電話株式会社)
     灘本 正博 (光産業技術振興協会 専務理事)
     田中 昭二 (櫻井健二郎氏記念賞委員会 委員長)
     内田 禎二 (櫻井健二郎氏記念賞委員会 主査)
     筒井 哲夫 (受賞者:九州大学)
    (後列左から)
     倉嶋 利雄 (受賞者:日本電信電話株式会社)
     城戸 淳二 (受賞者:山形大学)
     仲田  仁 (受賞者:パイオニア株式会社)
     當摩 照夫 (受賞者:東北パイオニア株式会社)
■第19回櫻井賞 筒井、成瀬そのほか2グループに■

 第19回(2003年度)櫻井健二郎氏記念賞は、九州大学筒井哲夫氏、山形大学城戸淳二氏、パイオニア株式会社仲田仁氏、東北パイオニア株式会社當摩照夫氏のグループ、ならびに日本電信電話株式会社成瀬央氏、同倉嶋利雄氏、同(故)大野博重氏のグループに授与された。

 櫻井健二郎氏記念賞は、当協会の理事であった故櫻井健二郎氏が光産業の振興に果たした功績を讃えると共に、光産業および技術の振興と啓発を図ることを目的として創設したもので、過去18回で16名の個人、18グループ、延べ69名が受賞している。

 今年度の櫻井賞は、光産業および光技術の分野において先駆的役割を果たした1998年以降の業績を対象に、応募11件の中から厳正に選考された。

 受賞の栄に輝いた筒井氏他の受賞理由は『有機EL(electroluminescence)に関する基礎研究及びその実用化』に関するもので、「有機ELに関して、多色発光を実現する正孔輸送層/発光層/電子輸送層から成るダブルヘテロ構造の提唱と動作機構の解明、高効率を実現する燐光材料の提唱と実証、ドーパントの低濃度制御によるRGB同時発光による白色発光の実証、金属ドープによる発光効率の向上、材料の母材やドーパントの研究開発、ディスプレイ用高精細ドットパターニング技術や封止技術、高速駆動方法など、多くの重要な研究開発を行い、車載用及び携帯電話用ディスプレイの実用化を世界に先駆けて成功した。これらは、近年隆盛となっている次世代ディスプレイ開発の基礎を成しており、光エレクトロニクス分野への貢献を高く評価できる。
今後、本業績を基に、大型ディスプレイの他、壁掛TVやぺ一パディスプレイなどの開発により、ディスプレイ産業などの発展に寄与することが期待される。」というものである。

 一方の成瀬氏他の受賞理由は『光ファイバひずみ計測技術の研究と開発』に関するもので、「光ファイバ中のブリルアン散乱がファイバに生じているひずみによって周波数シフトすることを利用し、パルス注入したレーザ光の周波数シフトからひずみの大きさを求めるとともに、後方散乱光の戻り時間からその場所を求めることにより、構造物のひずみを光ファイバの長さ方向の分布として計測する技術を開発した。また、トンネルや河川堤防、アメリカズカップのヨットなどのモニタリングを通して、本技術が構造物のひずみを計測する方法として有効であることを実証した。現在、本技術は土木建築から航空宇宙にわたる構造物にも応用され、BOTDR(BurillouinOptical TimeDomainReflectometer)として知られている。本グループが光ファイバを用いた構造物ひずみ計測の分野を先駆的に開拓したことは高く評価できる。
今後、本技術は、構造物の安全性評価の分野、構造物製造の分野の発展にも寄与するものと期待される。」というものである。

7氏に対する表彰は、2003年12月4日に開催された第23回光産業技術シンポジウムの終了後に行われた。櫻井健二郎氏記念賞委員会田中昭二委員長(超電導工学研究所長)から経過報告の後、賞状、メダル、賞金が各受賞者に手渡され、ついで受賞者を代表して筒井氏および成瀬氏より謝辞が述べられて表彰式を終了した。

 なお、受賞者各位の略歴は以下の通りである。

    筒井哲夫氏
    1969年九州大学大学院工学研究科応用化学専攻修士課程修了。同年三菱油化株式会社入社。1971年九州大学工学部助手。1995年同教授。2000年九州大学大学院総合理工学研究院教授。2003年同総合理工学研究院長・学府長。工学博士。

    城戸淳二氏
    1984年早稲田大学理工学部応用化学科卒業。1989年ニューヨークポリテクニック大学大学院博士課程高分子化学専攻修了。同年山形大学助手。2002年同大学工学部機能高分子工学科教授。理学博士。

    仲田仁氏
    1981年東北大学工学部応用化学科卒業。同年パイオニア株式会社入社。現在同社研究開発本部総合研究所表示デバイス研究部部長。

    當摩照夫氏
    1970年早稲田大学理工学部物理学科卒業。同年パイオニア株式会社入社。現在東北パイオニア株式会社常務執行役員。

    成瀬央氏
    1984年千葉大学工学部機械工学専攻修了。同年日本電信電話株式会社入社。現在同社アクセスサービスシステム研究所主幹研究員。
    工学博士。

    倉嶋利雄氏
    1988年電気通信大学電気通信学研究科電気通信学専攻修了。同年日本電信電話株式会社入社。現在同社アクセスサービスシステム研究所主幹研究員。工学博士。

    大野博重氏
    1997年東京大学総合文化研究科広域科学専攻修了。同年日本電信電話株式会社入社。2003年同社アクセスサービスシステム研究所。同年交通事故により没(享年30歳)。

■受賞者代表挨拶■

    筒井哲夫氏
    有機ELの実験を始めたのは1983年であるが、暗い所で細々と光っている状態であった。コダック論文以降、1988年に明るい所でも見える発光ができるようになった。フルカラーの壁掛けTVなどができるといいね、と話はしていたが、今日の状況は想像もできなかった。以来、15年経って製品ができ、今後の発展を見込まれるようになった。日本を中心に大学、産業から多くの方々が勇気をもって有機ELの開拓に参加したことで現在がある。今後とも、この分野の発展に尽くしたい。

    成瀬央氏
    光ファイバひずみ計測技術の研究開発を開始したのは約7年前であるが、新しい分野であったため、新鮮さを感じながらの開発であった。最近、光関連分野以外の国際会議などで、私達の成果をべ一スとした発表を聞かせていただけるようになってきた。通信用途に加えて、光ファイバが防災、白然環境、インフラ設備のモニタリングなど身近な安全を守るシステムとして発展することを願っている。構造物のモニタリングでは新ビジネスが立ち上がりつつある。光産業の今後の発展における礎となるよう頑張りたい。

櫻井賞受賞者リスト

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